ジャージー (衣類)

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ジャージーの生地

ジャージ (jersey) とは、糸を編むことで伸縮性を持たせた布(メリヤス)。またその布で作られた衣類である。伸縮性があり、動きやすいため、スポーツのユニフォームトレーニングウェアに使われることが多い。「トラックジャケット」とも呼ばれ、学校の体操着によく使われている。語源はイギリスジャージー島の漁師の作業着の生地である。

素材[編集]

生地は主にポリエステル製で伸縮性がある。伝統的にはウールや綿が用いられた。すべすべした手触りの平織りと、吸汗性を高めたハニカム状のブリスターとも呼ばれる綾織りがある。近年はスパッツタイツが普及したことにより、素材に伸縮性を求めなくなり、原料はポリエステルのみ(100%)が主流だが、裏地に綿ポリウレタンを混紡したものも学校指定や業務用では多い。

衣類[編集]

学校の体操着[編集]

上下になっており下をトレーニングパンツ、上をトレーニングシャツと呼ぶことが多い。略称はトレパン、トレシャツ。別の名称をもつ地域もある。特に上着だけをジャージと表現することもある。日本では学校の体育競技に着用するもののイメージが強い。

デザインにも様々な種類があるが、人気が高いのは、定番ともいうべき上衣の左右両方の肩から袖、パンツの腰から裾までラインの入ったものである。学校の体操着としてのジャージに多く用いられるデザインで、元々はアディダスが採用したデザインが広まったとされる。サッカー選手などが着用するジャージの多くがこのデザインであるため、人気が高いものと推測される。市販のアディダスプーマナイキなどの有名スポーツメーカーだけでなく、学校指定で本来は生徒にしか販売しないジャージを地域の衣料品店で好んで購入する人もいる。特に学校指定の場合、機能面・耐久性・統率性がデザインに反映され、上着はポロシャツもしくは丸首が多く、冬着はハーフジップとされる。尚、フルジップ(全面開閉)は、着こなしに個人差が出る為に不適格とされ皆無と言ってよい。 このような理由から市販されていない特徴的なデザインが生まれ、個人的愛用者もいるのである。

動きやすいことから体操時のみならず、各種作業時の作業着としても使われる。小中学生の間では、以前から普段着としても好んで着られていた。特に女子生徒・児童においては、スカートブルマー以外の数少ない制服扱いの衣類である為、学校生活において好まれ、下校時にはスカートの中に着用する者も日常的にみられた。 大人向けの用途としては、家事や気晴らしとしてのスポーツ、または寝巻き代わりのリラックスウェアとして考えられていたが、最近は、こだわりのファッションとして定着した観がある。

近年、小学校の体育の授業で「着衣水泳」があり、学校によっては体操着姿で行っているところもある。徳島県海部郡美波町の小中学校では学校行事としてシーチャレンジあわび天国」というものがあり、小中学生男女全員ジャージ姿(下は水着ではなく体操服に短パン)に手袋。靴下、運動靴。水泳帽子をかぶり水中メガネをした後、海に潜り全身びしょ濡れになりながらあわびとりを行っている。

かつてはファッションウェアとして認識されることはなかったが、近年、レトロなデザインのものの人気が高まり、アーティストや芸能人の中にも長年愛用するものもでてきた。この影響で、スポーツ以外の場面でも着用している人の姿も目立つようになった。2006年には、アディダスジャパン主催のベスト・ジャージストという賞が出来た。

お笑い芸人のテツandトモが、学校の体育の授業などで着るようなデザインのジャージを衣装としていることで知られる。また、近年、女性の間で人気が高まったのは、ドラマごくせん』で、主演の仲間由紀恵が、体育教師でないにもかかわらず常にジャージで授業をしていたことから、と言われる。

競技用ウェア[編集]

野球アイスホッケーバスケットボールサッカーラグビー自転車競技などの競技で着用するウェアもジャージと呼ぶ。人気選手が着用しているジャージと同デザインのレプリカジャージは人気を博している。熱心なファンが多いチームは、レプリカジャージの着用率が高い傾向にあり、スタンドをチームカラーで一色に染めることになる。日本では一般にこれらをユニフォームと表現することが多いが、ユニフォームは制服の意であり、ベルトやパンツ、ソックス、付属品などの一式を揃えた状態を指す。特にラグビーでは、ジャージとユニフォームの区別をより明確にするため、競技では極力ジャージと呼ぶようにしている(「黒いジャージのニュージーランド・オールブラックス」など)。

自転車競技では、レースやシリーズで、その日のスタート時点での首位の選手、あるいは優勝した選手に特別なジャージ(リーダージャージ、チャンピオンジャージ)が与えられ、栄誉となっている。ツール・ド・フランスでの「マイヨ・ジョーヌ」、ジロ・デ・イタリアでの「マリア・ローザ」、ブエルタ・ア・エスパーニャでの「マイヨ・オロ」などが有名である。このほかに世界選手権自転車競技大会の「マイヨ・アルカンシエル」(虹のジャージ)各国の国内選手権優勝者の着用する「ナショナルチャンピオンジャージ」といったチャンピオンジャージがある。また、マイヨ・アルカンシェルやナショナルチャンピオンの獲得経験者は、地位を失ってもジャージの袖口や肩口に獲得経験者の証としてパイピングを入れることを許される。

自衛隊[編集]

陸上自衛隊航空自衛隊では、作業服や戦闘服の上衣にジャージのトレーニングパンツを履く、”ジャー戦”と呼ばれる服装が営内で愛用されている[1]

ジャス[編集]

宮城県ではジャージのことをジャスと呼ぶ。特に学校指定運動着のジャージを指して使われることが多い。また、上下揃いのジャージのみを表すと言われている。「ジャージスーツの略」としてエンドーチェーンが広告で「ジャス」という言葉を使用したという説が仙台地域で広く支持されている。東日本放送(KHB)製作の番組では、昔、大きなラグビー大会が仙台で開催された折にジャージが知られ、ジャーシ、ジャスと変化していったという説が紹介された。一説には昭和30年代に仙台市北部近辺より発生したという。小中学校で運動着が普及する以前には聞いたことがなかったという説もある。小学生までは普通に「ジャス」というが、中学校入学後、ある時期を境に「ジャージ」と言い改めるようになる。

脚注[編集]

  1. カーネル嶋田「カーネル嶋田の装備開発実験団」『Molibito』 Vol.4、(株) 角川書店、2009年11月 。ISBN 9784048682350

関連項目[編集]