校内暴力

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校内暴力(こうないぼうりょく)とは、学校内で行われる暴力行為のことである。校内暴力には、学校における児童生徒間の暴力事件や、教員に対する児童・生徒による暴力行為、学校内の器物損壊、その他の問題も含まれる。

日本で「校内暴力」という場合には、主として1970年代後半から1980年代前半にかけて、多数の中学校(多くは公立)と一部の高等学校で発生した暴力事件を指すことが多い[1]。校内暴力は、マスメディアで連日のように報道されたので、特定の地域に限らず連鎖的に日本各地で発生し、かつ生徒間では公然と行われることもあった。ただし、1995年以後では小学校でも暴力事件が多発する傾向にある一方で、1970年代後半から1980年代前半においては小学校で深刻な暴力的な問題は発生していなかった(または顕在化していなかった)。

学園紛争など政治的な目的や、生徒会学生自治会などによる事件は除いて考えられることが多い。そのため、大学などの高等教育の場における校内暴力の問題の多発は、少ないと考えられている。

歴史[編集]

日本において校内暴力は、1970年代末期から社会問題として注目されるようになり、暴力事件数にピークを迎えた。

1980年には、中学校を舞台にしたテレビドラマ3年B組金八先生』第2編で、校内暴力が主題として扱われた。また、東京都内では中学生による関東番長連合「憂誠会」(浅草総本部・中野、港、新宿、横浜、川口等に支部)などという組織が結成され、世間を驚かせた。この他にも、1984年にも、高校を舞台にしたテレビドラマ『スクール☆ウォーズ』では、オープニング映像でバイクが学校の廊下を走り、窓ガラスが続々と破られ、非行少年が警察に連行されるシーンが登場した他、本編でも暴力事件を起こす生徒が主題として扱われた。

1985年頃を境に沈静したが、代わって学級崩壊やこれまでなかったタイプのいじめの急増など、新たな問題が見られるようになっている。ただし、沈静の裏側には、徹底的な管理教育による生徒への抑圧が行われており、校内暴力の嵐が吹き荒れていた時とは逆に、教師(主に体育会系出身者)による生徒への暴力が行われた背景もある(東京都教育委員会の調査結果によると、1985年度 教師による暴力での生徒の怪我が都内全体で43件発生。1980年度の調査では3件だった)。沈静の過程にかけては歴史的な研究も行われている。

1990年代においては、各学校での授業(学級)が崩壊するにつれて児童・生徒の学力の差が問題視されるようになり、現在盛んに議論されているゆとり教育に通じる教育論を生じさせた。ただ、生徒全体の学力の低下、無気力化と、賛否両論の意見が取りざたされている要出典

2000年代後半においては小中学校での校内暴力が増加しており要出典モンスターチルドレンという新たな問題が発生した。

校内暴力の推移[編集]

以下、文部科学省が調査した校内暴力の発生件数の推移を示す[2]。ただし、途中で統計方法や調査対象の変更があったため、1996年度以前と1997年度以降、2005年度以前と2006年度以降を比較することはできない。

校内暴力発生件数推移
(1983年度~1996年度)
年度 中学校 高校
1983 3547 768
1984 2518 647
1985 2441 642
1986 2148 653
1987 2297 774
1988 2858 1055
1989 3222 1194
1990 3090 1419
1991 3217 1673
1992 3666 1594
1993 3820 1725
1994 4693 1791
1995 5954 2077
1996 8169 2406
校内暴力発生件数推移
(1997年度~2005年度)
年度 小学校 中学校 高校
1997 1304 18209 4108
1998 1528 22991 5152
1999 1509 24246 5300
2000 1331 27293 5971
2001 1465 25769 5896
2002 1253 23199 5002
2003 1600 24463 5215
2004 1890 23110 5022
2005 2018 23115 5150
校内暴力発生件数推移
(2006年度~2017年度)
年度 小学校 中学校 高校
2006 3494 27540 8985
2007 4807 33525 9603
2008 5996 39161 9221
2009 6600 39382 8926
2010 6579 38705 9010
2011 6646 35411 8312
2012 7542 35428 8195
2013 10078 36869 7280
2014 10609 32986 6392
2015 15870 31274 6111
2016 21605 28690 5955
2017 26864 27389 5944


以下、警察庁が集計した校内暴力事件の発生件数と補導・検挙人員の推移を示す[3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14]

警察白書 校内暴力事件数と検挙・補導人員数
(1975年度~2018年度)
年度 事件数 検挙・補導人員合計 小学生 中学生 高校生
1975 2732 6885 4506 2379
1976 2301 6221 4053 2168
1977 1873 6343 4358 1985
1978 1292 6763 4288 2475
1979 1208 6719 5141 1578
1980 1558 9058 7108 1950
1981 2085 10468 8862 1606
1982 1961 8904 7952 952
1983 2125 8751 8227 524
1984 1683 7110 6657 453
1985 1492 6094 5683 411
1986 1376 5225 4924 301
1987 947 2852 2698 154
1988 943 2581 2409 172
1989 939 2651 2479 172
1990 780 2260 2130 130
1991 625 1702 1568 134
1992 567 1600 1430 170
1993 470 1293 1137 156
1994 494 1166 1092 74
1995 464 1005 917 88
1996 448 897 837 60
1997 571 1246 1117 129
1998 661 1208 1093 115
1999 707 1220 1150 70
2000 994 1589 4 1422 163
2001 848 1314 6 1175 133
2002 675 1002 16 887 99
2003 715 1019 5 893 121
2004 828 1161 25 1022 114
2005 1060 1385 21 1255 109
2006 1100 1455 27 1338 90
2007 1124 1433 27 1245 161
2008 1212 1478 16 1320 142
2009 1124 1359 32 1246 81
2010 1211 1434 29 1320 85
2011 1270 1506 27 1366 113
2012 1309 1608 54 1414 140
2013 1523 1771 70 1569 132
2014 1320 1545 77 1338 130
2015 967 1131 68 967 96
2016 832 926 88 751 87
2017 717 786 117 600 69
2018 668 724 150 464 110

生徒指導上の諸問題の現状[編集]

文部科学省は、2004年8月に「平成15年度における児童生徒の問題行動等の状況について」を発表した。

  • 暴力行為の発生件数(公立の小・中・高等学校)(確定値)
学校内 31,278件(前年度29,454件)6.2%増、学校外 4,114件(前年度4,311件)4.6%減、学校数は5,885校、全学校数に占める割合は15.5%、学校外で暴力行為を起こした児童生徒が在籍する学校は2,668校、全学校に占める割合は7.0%、形態別では,小・中・高等学校いずれも生徒間暴力が最も多く17,827件、器物損壊,対教師暴力,対人暴力が続く。
  • いじめの発生件数(公立の小・中・高等学校及び特殊教育諸学校)(確定値)23,351件(前年度22,205件)5.2%増
  • 不登校児童生徒数(速報値)(国公私立の小・中学校) 126,212人(前年度131,252人)3.8%減
  • 高等学校中途退学者数(公・私立の高等学校)(確定値)81,799人(前年度89,409人)8.5%減

文献(学術文献)[編集]

   ――校内暴力に関する、初出の学術的解説論文――

脚注[編集]

関連項目[編集]