製作委員会方式

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製作委員会方式(せいさくいいんかいほうしき)とは、アニメ映画を製作する際のさまざまなリスクを回避するための方式・手法のひとつであり、現在の主流の方法となっている。

概説

アニメ・映画などのエンターテイメント作品の製作にあたっては多額の費用を必要とする。作品がヒットすれば多額の利益がもたらされる一方、興行が不振に終わった場合には大きな負債や関連商品の不良在庫を抱えるリスクが存在する。現実に、製作した映画が振るわなかったために経営危機に立たされる他、作品制作部門の廃止(版権管理会社への移行)を余儀なくされたり、倒産吸収合併へと追い込まれた企業は少なくない。

また、経営危機と逆の場合もある。作品がヒットしたまではよいものの、テレビ放映権やビデオソフト化権の値段が高騰する上、また権利をめぐって同業他社との競合が発生する事もあり、テレビ局やビデオソフト会社は作品の買い付けの際に難航する事になる。

当方式はこれらのようなリスクを分散・回避するために考案された手法である。

この手法は『風の谷のナウシカ』『AKIRA』で有名になり、当初は劇場映画製作において多用されてきたが、1992年放送の『無責任艦長タイラー』でテレビアニメ史上初の製作委員会方式を採用し(この際の名称は「タイラープロジェクト」)、後に『新世紀エヴァンゲリオン』における「Project EVA」及び「EVA製作委員会」の商業的な大成功によってテレビ作品にも普及したとされる。近年では深夜特撮番組『牙狼<GARO>』も製作委員会方式を採用した。

手法

まず、主導権を持つ幹事会社が複数の会社に対し出資を募り、資金リスクを分散する一方、利益が出た場合はこれを出資比率に準じて分配する。スポンサー企業にとっては1作品への投資を減らすことができるため、1社がより多くの作品に関与することが可能となり、制作プロダクションとしては映画製作費の調達を容易にもできる。

出資スポンサーとしては、キー局・映画会社・制作プロダクション広告代理店商社出版社レコード会社・ビデオソフト制作会社・芸能事務所・玩具メーカー・インターネット各種関連会社などが挙げられる。

これらの会社が参加する最大の目的は一つの作品における各種権利ビジネスを行うためである。テレビ放映・劇場上映・海外展開・ネット配信・ビデオソフト・関連書籍の出版・キャラクター版権など、一つの作品について場合によっては数百単位の権利が発生する。出資することによって企業は作品の各種権利の独占使用権を得て、取得した権利をフル活用してビジネスを行い、同時に作品の売上向上をも図ることとなる。

近年の(特にキー局における)テレビアニメの本数の増加もこの製作委員会方式の導入によるところが大きい。この方式を採用しているテレビアニメ番組はキー局が制作に関与していない例がほとんどであり、その場合は製作委員会側が放送局の放映枠を買い取る形式で放送するが、キー局が制作に関与しているケースもあり、製作委員会にキー局が名を連ねているか、またはキー局の名前がクレジットされるというケースがこれに当たる(特にテレビ東京系のアニメにおいて、この形式が顕著に見られる)。

問題点

製作委員会方式ではまず出資者が収益を確実に確保することが絶対条件となる。このため、作品の内容としては第一に大衆受けしやすいものや、出版テレビゲームアダルトゲームなどの分野で既に一定のセールス実績を残してきたものなど、商業的期待値の高いものが要求される傾向が強くなるきらいがある。儲けを第一にするため、信者を増やすカルト宗教に通ずる問題点も散見される。芸術性に欠け前衛的とも言い難い作品の増加を招いた元凶であるとして、映画評論家の中からは今日のこの方式の普及を歓迎しない意見も少なからず聞かれる。

新世紀エヴァンゲリオン』で普及のきっかけを作ったキングレコードスターチャイルド)のプロデューサー大月俊倫は、その後もこの方式を使用したアニメ作品などで何度もプロデューサー職を務めているものの、他方では極めて批判的な意見を述べており、後年製作された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は自社製作としている。

また、出資の経済的リスクが各社に分散される裏返しとして、同様に著作権等の権限も出資各社に分散されてしまう事が少なからずあり、この場合、制作された作品のクオリティや販売戦略に関する最終的な責任までもが分散されてしまう事がある。実際、製作委員会方式で製作される作品では、監督と同様に作品の成否の責任を直接負う立場であるプロデューサーを主要な出資元の企業が個々に出す事が多く、クレジットで5人以上がプロデューサーとして名を連ねる作品も少なからず見られる。

複数の出資者に権限と責任が分散されたその結果、クオリティ面の問題などで明らかな失敗作になることが懸念される状態に陥った場合でさえも、他社から必要以上に責任を転嫁される事を恐れて誰も軌道修正をしようとしたがらない、あるいは本来ならばプロデューサーの権限で修正できる筈の事について、他社所属のプロデューサーとの同意や事前交渉ができなかったなどの理由から軌道修正ができなくなる、などの事態に陥ることもある。また、実製作を担う者たちが、複数のスポンサーの異なる意見や主張の間で板挟みとなり、場合によってはそれらの顔色を伺いつつ作る事を余儀なくされ、結果としてスポンサー各社の意見を折衷した様な中途半端な内容となってしまう事もある。また、作品内容・品質面の破綻やDVDセールスの著しい不振などの問題の発生時に、その責任の所在がうやむやにされてしまう、などといった事態も起きる。

さらに、製作開始後に異なる意見を持つ複数の有力出資者が介入を交互に繰り返した挙げ句に制作現場が混乱・内紛状態となり、主要スタッフや俳優声優らが特定の出資者の意向に従える人物に入れ換えられたりするなどして、結果として作品の内容が迷走・失敗するといったケースも発生する危険性がある。もっとも、この点については製作委員会方式に限った問題とは言えないが、この種のものが(真偽の程は別としても)製作委員会方式で製作された作品でより多く聞かれやすい事も否定ができない。

特別目的会社

製作委員会は、法律的には民法上の任意組合であり「出資者」である組合員は無限責任を負う。そのため、機関投資家や金融関係者などが参加しにくく、出資先を広げにくいという欠点がある。また、作品の著作権が各出資スポンサーに分散され、各種メディアでの事業展開の際に権利処理が煩雑になるという欠点がある。

そこで最近では、「特別目的会社(SPC)」を利用して、作品を製作するための会社を設立することも行われている。これにより、機関投資家や金融関係者などが出資しやすくなり出資スポンサーの多様化や製作予算の拡大が容易になる。また、作品の著作権所有がSPCに一本化されるため、将来誕生する新しいメディア媒体で事業展開する際にスピーディに対応できるという利点がある。代表例として『かいけつゾロリ』のゾロリエンターテインメントが挙げられる。また、株式会社方式では松竹主導で設立した同名映画作品のアナザヘヴン社もある。

製作委員会での著作権表記

製作委員会のスタッフクレジット表記は「○○製作委員会」「○○プロジェクト」「○○パートナーズ」「○○フィルムパートナーズ」とするのが基本である。参加企業の記入順番イコール序列と思われることによる無用のトラブルを起こすことがまれに起こるからである。

なお海外での製作委員会表記は「○○製作委員会」(production committee)、または「○○フィルムパートナーズ」(Film Partners)と表記される事が多い。

表記の一例

  • 千と千尋の神隠し』の著作権表記は「(C)2001 二馬力・GNDDTM」だが、出資スポンサーの表記は「GNDDTM」で表現されている。[1]
  • 日本国外での『時をかける少女』の著作権表記は「TOKIKAKE Film Partners」で表現されている。

表記の順番

テレビアニメ(特に深夜アニメの大半)も映画と同様、クレジットタイトルDVDのパッケージなどで記載される著作権表記では一般には作品名又はその通称の後にキー局やスポンサー数社をまとめ(製作委員会への出資額の順に並べられることが多い)、おおむね「©原作者(原作の著作権者)/出版社(漫画・小説が原作の場合)/制作局/○○製作委員会」のような形式で表記される。

製作表記の場合はこれに限らず、『NANA』のようにスタッフクレジットのみ製作委員会の名前を使用し製作表記・著作権表記を個別に行う例もある。

ちなみにサンライズは製作委員会の名義に加わらない方針となっている。

作品にちなんだ名前

他にも、一種の「お遊び」として作品中に存在する組織・団体等や作品のテーマに因んだ名前を製作委員会の名義として使うことも数多く見られる。

例としては主人公たちが所属する企業・店舗や学園アニメでの部活名・生徒会などがある。

有力な出資スポンサー企業

ここでは複数の制作委員会を特定子会社としている主な企業を挙げる。なお、日本の映画配給御三家(東宝松竹東映)や大手総合商社(三菱商事伊藤忠三井物産丸紅住友商事双日)、および各社グループについては便宜上、除外することとする。

関連項目

注訳


参考文献

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