アフレコ

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アフレコとはアフター・レコーディング(after-recording)の略で、映画テレビドラマ等で、撮影時に俳優台詞を同時録音せずに、撮影後に俳優がだけを録音する事を言う。英語風日本語

吹替やアニメーションでは代わりにアテレコという語が用いられる場合も、僅かながらある。

アフレコとは逆に、台詞や音楽を先行して収録して、それに合わせて絵を描いたりキャラを動かす事がある。これはプレスコ(pre-scoring プレ・スコアリング)と言い、主に人形劇、着ぐるみショー、アメリカのアニメーションなどで採用されている。

実写作品では、一般的に防音された屋内スタジオでは台詞は同時収録し、屋外などの撮影で明瞭に台詞が収録されない場合にアフレコが行なわれる事が多い。日本の特撮ヒーロー番組では実写でも、台詞だけアフレコしている作品が多く、現在もかなりの作品がこの手法をとっている。

また近年はスタントマンと言葉の意味が混同し、スタントマンを「中の人」、声優を「吹き替え」と言うケースも多い。

アフレコの手順[編集]

配役[編集]

アニメは原作者、プロデューサー監督、出資者の意向で配役が決められる。プロの声優によるオーディションを行なう事もあれば、行なわない事もある。海外のドラマや吹替ではオーディションは行なわず、音響制作会社の演出家に一任される事が多い。しかし、宣伝の目玉としてテレビやビデオのプロデューサーが有名芸能人を起用する事もしばしばある。ドキュメンタリーの場合には、スケジュール調整の手間を省く為、声優プロダクションに配役が任せられる事が多い。

収録[編集]

吹替作品の場合は翻訳家が台本を作成、アニメでは脚本とは別にアフレコ用の台本が作成され、それぞれ事前に台本が渡される。録音スタジオに出演するスタッフや演技者が集合し、収録前にはプロデューサーや監督が演出方針を語る。そして、まずリハーサルを一回通して行ない、全体の流れや共演者との息やタイミングを掴む。収録は、映写やモニター画面を見ながら、数人が何本かのマイクを共有して台詞を収録する。スタッフは声優がいる収録ブースとは、区切って防音されたコントロールルーム(調整ブース)から指示を与える。台本通りに収録するとは限らず、収録の段階で、アドリブが飛び出したり、演技者が台詞を言いやすい様に言い回しを変える事もある。

外国作品の吹替の場合は、イヤホンで原音を聞きながら行なわれる。演技者に事前に原版のビデオを渡されて演技の参考にする。一方、アニメの場合は事前に台本を渡されるものの、アフレコ時は無音の状態であり、画面も未完成の事がしばしばある。

録音の工程はデジタル化されており、ハードディスク録音の為、ミスがあってやり直しになっても、その台詞だけをリテイクするだけで済む様になっている。しかし、かつて録音テープの編集が出来なかった時代には、やり直し(NG)を出すと、最初から収録を全てやり直す必要があり、本番では大変な緊張感があったと云う。更に遡って、テープ収録が無かった時代には生放送でアフレコを行なっていた。

スケジュールの都合などで別に1人だけ収録する場合は「抜き録り(-どり)」「オンリー録り」と言われる。宣伝目的で有名芸能人を起用する場合、アフレコに不慣れでやり直しを何度もするために、オンリー録りが行なわれる事もしばしばある。コンピュータゲームの台詞収録は、多くの場合アフレコではなく事前収録ではあるが、オンリー録りが殆どである。又、映像作品の様な画面を見ながらの収録ではないため、アフレコ用の録音スタジオを使うことは無く、ナレーションの収録に近い。

備考[編集]

アテレコとしての日本初の16ミリ磁気フィルム録音機制作番組は、1956年日本テレビ放送のアメリカテレビ映画『ジャングル・ジム』である。それ以前は、制作側は吹き替えの録音に当たり、音と画面の同調に悪戦苦闘していた。音と画面のズレが5コマ以下なら視聴者はズレに気付かなかったので、ミキサーを素早く操作して、テープの「ス」を作って誤魔化して来たが、神業にも限界があった。このような状況を改善すべく、第11話の制作から16ミリ磁気フィルム録音機を導入。この録音機によりアテレコは飛躍的に進歩して行く事になる。

アテレコ初期の出演者達は「アテ師」「アテ屋」等と言われ、新劇人からは幾分低く見られていた。民芸の宇野重吉は、若い俳優に「芸の固まらない内はアテレコをするな」と厳命した程である。この為当時としてはあまり売れてない文学座新人会劇団四季テアトル・エコー等の群小劇団はユニット制で出演したり、舞台と掛け持ちで出演したりして重宝がられた。

関連項目[編集]