平成オバマ立法

平成オバマ立法とは、米オバマ政権がその政権期間中に、日本、韓国、台湾など極東における 衛星国において、直接に行った立法行為、またはその法律群を指す。狭義には同政権が、日本で在日メディアなどを使って世論喚起して立法した児童ポルノ法案、ヘイトスピーチ規制(現在審議中)、タバコ増税、等を指し、これらはいずれも立法に至る理由づけが極めて強引で、国民間の合意が存在しないまま、与野党のコンセンサスのみで、性急に法制化された経緯を持つ。
アメリカ長老派キリスト教特有の倫理観が濃厚に顕れている点も特徴のーつ。

概説

まず、児童ポルノ法案、タバコの禁煙運動のように、衛星国での法制化に先立って、すでにアメリカ本国で立法・社会喚起がなされていたものが多い点が目立つ。これには極東におけるロシア・中国のプレゼンスの拡大に対抗して、衛星国の国民の倫理観をアメリカ本国並みにアップデイトしようとする意図が推察される。
オバマ立法と似た意味の言葉で「グローバリゼーション」があるが、そちらが経済や産業構造などで使用される用語なのに対して、「オバマ立法」はカルヴァン派的な発想にもとづく、倫理面での「対民衆統制」を主眼とする。
事実、これまでグローバリゼーションに対して批判的な運動を繰り返してきた左派系の論者は、一連のオバマ立法に対しては、おおむね礼賛・歓迎の態度をとる傾向が強い。これは、現在の左派系の思想を醸成した戦後日本の初等・中等教育の核に、カルヴィニズム的な思想が潜んでいた事実の反映と受け取ることもできる。

以前台湾で、個人の児童ポルノ画像所持の大量摘発が行われた際には、アメリカ本国の指示と情報供与が捜査の発端にあった事実が確認されており、米国当局がその立法に関与しただけでは辛抱できず、直接自らが捜査行為にまで乗り出すケースも実在する。これまでの日本における摘発の事例でも、同様に米国が水面下で捜査指揮をしていたケースは当然に予想され、この面では一層の情報開示が望まれる現状である。このような情報の開示度では、日本は諸外国にくらべて立ち遅れていると言わざるを得ない。
オバマ立法は、直接的な軍事行動を伴わない行政･立法面での侵略行為として、戦争犯罪の新しいカテゴリーを形成する可能性も、論議の的となる風向きだ。

またオバマ立法は、同様の法律が必ずしも各国で同時期に立法されるわけではなく、その順序は様々である。これは米当局が、その国の意識調査の結果を慎重に分析しつつ、一瞬の間隙をねらって、俊敏に法制化を行うためであり、その結果、ある国ではまだ法制化されていない禁止事項が、別の国ではすでに法制化されているような状況は、むしろ通常のことである。
例えば、韓国では売買春が全面的に禁止されたが、これは日本でも、現在彼らがそういう狙いをじっくりと定めつつある事の前兆とみていい。
それゆえ自国の将来の状況を予測するためには、アメリカの衛星国群の国民の間で、今互いの国で何が起こってるのかという情報の交換は必要不可欠である。

平成オバマ立法は、将来日本国民の総意でピックアップして、修正または廃棄してゆく方向が望まれ、米・日・台・韓の国民間の対話の進行がこれからの課題だ。

占領期立法とオバマ立法

日本では、そもそもオバマ立法以前に、アメリカの圧力による立法や社会･経済構造の転換は、むしろ戦後間断なく行われてきたといえる。
ただ、この八年間の立て続けの立法は、憲法、労働基本法、教育基本法などが制定された米軍占領下での「それ」に匹敵する規模と、重要性を持つ。(独立した用語が必要とされる所以である)

占領期立法が、一般に日本の国家統制を粉砕する意図を強く持っていたのに対し、平成オバマ立法は、キリスト教カルヴァン派的な倫理観からの対民衆統制を強く志向するといった違いがみられる。
もちろん、占領期立法がなされた時期にも、決して民衆を直接の攻撃対象にしなかったわけではなく、在日を扇動しての暴力行為などがその典型例であろうし、また、戦後長期間にわたって続けられてきた同和団体の糾弾活動なども、日本人の階級意識を粉砕するという占領期立法に近い思想での「彼らの仕掛けた民衆統制」といえる。
しかし、あくまで法制化の部分では「国家諸制度の変革」の方に重点を置いており、民衆を統制する立法は例外的であった点は踏まえておくべきであろう。

オバマ立法の原因

今この時期に「対民衆統制」が組織的に行われることの原因は諸説ある。
特に、わが国における原因を探ってみると、従来、日本の文化を担う民衆を保護してきた国家の諸体制が、占領期立法によって決定的なダメージを受け、さらにそれに続く社会構造の転換の進行や、マスメディアの活動等によって、現在ではほぼ完全に解体されたといっていい現況を念頭におく必要がある。
いわば防備を失った民衆に対し、米国的な倫理観からの厳格な統制が、今ようやく可能となった事実を理由の一つとして挙げる事が出来るのではなかろうか。

また、韓国や台湾などでも、米国支配のメディアによって、従来の国家体制や社会構造が解体寸前になってた現状は同様であり、身を守るすべのない裸の民衆に、自らの信じる宗教に基づく倫理が自由に強制できるようになったという事実は重い。この事は逆に言うと、長期間にわたって、抵抗する手段を 一つ一つ取り除いてきたそのプログラムの最終段階に、今まさに来ているということを意味する。

国民が身を寄せるべき確固とした国家体制が全く存在しない衛星国における状況が、多かれ少なかれ、こうした施策を実行する条件として作用していることは疑いない。

オバマ立法の真因

しかしながら、以上の原因は真の原因とはいえず、いずれもたんなる付帯条件に過ぎない。
なぜなら、このような立法は、日本や他の衛星国のみならず、９０年代以降のアメリカ本国で、まず一般民衆に対して極めて強硬な態度で行われている。つまりアメリカ本国でも、冷戦期以降の「対民衆統治」の新たな型が模索されている状況が伺えるからである。
冷戦終結後に「対民衆統治」の方法が変化したことには、二つの原因が考えられる。

冷戦体制の終焉

一つは最大の敵であった旧ソ連の崩壊であろう。
周知のように、冷戦期における西側のソ連批判は「自由への抑圧」という一点に収斂されており、共産主義イデオロギーのもつ「平等をより重視する姿勢」への批判の方はきわめて消極的で、言論人の多くはこの問題を回避しがちであった。西側メディアが、西側の大衆に対して、ソ連を「悪のイデオロギー」と規定する上で強調されたのは、その「大衆を弾圧する」側面であり、その際、共産圏に比較して不平等な西側社会は、民衆が西側の自由を享受するコストであると定義され、説明されていた。
このため、「西側の自由」を、共産圏との差異を強調して提示する必要があり、オバマ立法にみられるような「対民衆統制」は、政策上避けられたとも考えられる。
しかし、冷戦の終了によって、西側の存立を揺るがすほどの存在がなくなった事で、西側において支配的な勢力が本来その内側に秘めていたイデオロギーが、全面的にその姿を現すこととなる。
金融を頂点にした近代的な資本主義の特色は、基本的には「個人の自由」の面から語られる事が冷戦期間は通例であったが、その真の本質はむしろ、キリスト教における神の「支配の徹底」にあり、この方向からの民衆統制は、独裁国家や共産国家のよるそれとは比較にならない過酷さを持っているとみていい。西側世界は、自らの民主体制を、ナチズムや共産主義よりも本当の意味で遥かに強靭な政体だと語る事を好んだが、それは皮肉なことに、民衆統制の面でもはるかに強靭な性格を持っていた事になる。
冷戦の終了によって、近代資本主義の奥底に秘められていたカルヴィニズムが、残忍な政策を伴なってついにその全貌を現した事が、９０年代以降のアメリカとその衛星国における「民衆統制立法」の一因であることはまず間違いない。

宗教の終焉(テンプルトン賞ﾜﾛﾀ)

もう一つの原因は、上と矛盾するようであるが、キリスト教ないし宗教そのものの危機である。
この事は、近年になって特に顕著になってきたわけではなく、今世紀の初頭から進行していた事ではあるが、合理的な自然科学の普及によって、元来非合理的な宗教を信じる人間の数の減少に歯止めがかからない状況が、深刻に懸念されたことは想像に余りある。
キリスト教が、西欧型民主制や様々な倫理の基礎になっている事実を考えた場合、ここであらためてキリスト教抜きに、もう一度現今の様々な倫理を基礎づけ、あるいは再定義し、さらには改変しておく方向へ

以上こうした「強み」と「弱み」の二つが、９０年代以降の様々な倫理の再定義･改変の根本原因として考える事が出来る。